(6)定期巡回随時対応型訪問介護・看護事業
藤田 今日もよろしくお願いします。
森藤部長(以下敬称略) よろしくお願いします。
藤田 今日は平成24年の改正の中でも特に「定期巡回随時対応型訪問介護・看護事業」に関してということです。スラスラ発音するのが少し難しい(笑)。
これは至れり尽くせりの事業、ということですが、これは一体どういった制度なのですか?
森藤 この事業は在宅で介護を受けながら生活を維持している要介護者にとってはおっしゃるとおり、まことに至れり尽くせりの制度ですよ。だいたい事業の名称からしてそれがいかに素晴らしい事業であるかということがよくわかりますね。
先ず、「定期巡回」。在宅で一人不安に過ごしている要介護者、あるいは介護を担っている家族などからみると、介護や看護の専門職が定期的に家に来てくれる、それも夜中でもですよ、これほど心強いことはありませんよね。
しかも「随時対応」。これなんか本当に涙が出るくらい有り難いですよ。
そもそも、介護を要する瞬間というのはいつ何時それが起こるか予測ができない場合が多いでしょ?そしてそういう状態になったら誰かの手が入らないとその状態は決して解決しませんよね。
介護が必要になったらすぐに何とかしてほしい。定期巡回のときまで待っていられない。そういうとき、電話一本ですぐに介護や看護の専門職が駆けつけてくれるんですからね。これでもう在宅での介護生活は何の不安もなく送れるというものです。
藤田 ホントだ。考えたらそうですね。定期的に来てくれて、その上なにかあったらすぐ来てくれる。これがあったら、もう他にはなにもいらないって感じですね。
森藤 そうそう。
藤田 ホント理想的な形態ですね。これは一体誰が発想したんですかね?
介護保険ができた平成12年には、こういった発想はなかったですよね?それから12年したら、こんな理想的な発想のものができたわけですが、これはどういう経緯でできたのでしょう?
森藤 やっぱり現場からそういう声が出てきたんでしょうね。
「定期巡回」っていうのは昔からあったんですよ。夜中に訪問してオムツ交換をするとか。
だけど「随時訪問」というのが難しかったんですね。
お年寄りの方から「呼ぶ」っていう行為が、なかなか難しいんですね。当時は受け身的に介護を受けているのがほとんどだったので、こちらから呼ぶっていう発想があまりありませんでした。お年寄りには。
藤田 はああ。そうか。それはやっぱりIT的な技術の発展があってはじめてできたことなんですかね。
森藤 そうですね。固定電話は昔からあったけど、その電話のそばまで行けないから困っているわけでして。
藤田 言われてみれば、こういうサービスは当たり前に理想的なんですが、でも最初はこういう発想はなかった。
これはあれですね。森藤部長も(インタビューに前もって用意してくださったレジメに)書いておられます、この前の改正(2006(平成18)年)で「地域包括ケア」という考えが出てきたわけですが、この「地域包括ケア」というシステムは言ってみれば、その地域全体を施設に見立てよう、というものだと。
とするとこのサービスの「随時対応」というシステムはその喩えの中で、ちょうど施設の入居者がナースコールを鳴らすと介護士が居室を訪ねてくれるように、電話をしたら介護士なり看護師なりが自宅まで来てくれる、ということですね。
ということはなるほど、地域が特養みたいになる、みたいにしたいんだということで。
森藤 そういうことだと思いますよ。
藤田 このサービスでは、来てくれるヘルパーさんは、食事なんかも作ってくれるわけですか?
森藤 たしかにそういう家事援助的なサービスも含まれてはいますが、そういう家事援助のサービスは、普通の訪問介護のサービスでやってくれるんで、ここではそういうサービスよりも、夜も含めて、入浴、排せつ、食事(介助)などのいわゆる身体介護に係るサービス、あるいは短時間(10~20分程度)だけど1日に何度も訪問が必要なケースがメインになるのではないですかね。
藤田 それに安否確認?
森藤 そうですね、それも重要ですね。
藤田 そして、重度の方っていうと、施設にも入れるわけですよね?
森藤 そうですね。入れます。だけど、入れないんですよ。(笑)。
藤田 え?
森藤 それはね、施設のキャパシティもあるし、重度だから入れないっていう事情もあるんですよ。
藤田 あ、以前のインタビューでありましたね。施設の入居判定会議で、あまり重度だとかえって入れないっていう。
森藤 そうです。だから在宅で暮らしておられる重度の方っていうのは、結構おられるんですよ。
こういう方は医療も絡んでいる、だから「訪問看護」が入っているんですね。
藤田 あ!するとあれですか、このサービスの「訪問介護・看護」っていうのは、介護と看護、2種類あってどちらでも選べますよ、っていうことではなくて、介護と看護が一体になっている、と?
森藤 そうです。一体なんです。だからひとつの事業所の中に介護士もいて、看護師もいるんですね。看護師については、他の訪問看護事業所なんかと提携して都合をつけているところもありますがね。
藤田 じゃああれですかね?このサービスを使えるのはそんな重度の方に限られるんでしょうか?それともそうじゃなくて、誰でも使えるんですか?
森藤 対象としては誰でも使えるようになっているんじゃないかな。それはケアマネさんが判断すると思います。
藤田 これは利用する側からするとホントにすごくいいサービスだと思うんですが、利用料金はどうなっているんでしょうか。
森藤 料金はこれですねえ。
これ、1ヶ月の定額制ですね。だから何回使ってもこの料金ですよ。
藤田 これは安いんだか高いんだか。比べるためにサンシャインのデイサービスの利用料金を見てみましょう。
みると、
デイサービス 定期巡回サービス(看護付き)
要介護1 11,504円 8,287円
要介護2 12,448円 12,946円
要介護3 13,392円 19,762円
要介護4 14,336円 24,361円
要介護5 15,280円 29,512円
ですね。すると、要介護1・2の方だと、デイサービスを月に8回利用する場合と同じか安い料金で利用できることがわかります。要介護3以上になると、次第に定期巡回サービスの方が高くなりますね。
森藤 平成30年のデータでは、定期巡回サービスの要介護度別の利用者割合は、
要介護1 26.4%
要介護2 25.8%
要介護3 18.3%
要介護4 17.4%
要介護5 12.0%
ということですから、要介護1・2の方が半分以上になっていますね。
藤田 すると利用者からみると、やっぱり願ったり叶ったりのサービスですね(笑)。
でもこれをサービスする側から見るとどうなんでしょ?
<定期巡回随時対応型訪問介護・看護サービスの人員基準>
森藤 人員基準の表にあるように、訪問・オペレーター・計画作成責任者を1人がやるとしても、それが24時間なんですから、最低でも1日に3人は必要で、それが毎日なんですから、週休2日だとして1人週40時間勤務ですから、24×7=168、これを40で割ると、168/40=4.2となって、最低でも5人必要ですね。
それに看護師が常勤換算方法で2.5人必要ですね。こちらは24時間常時いる必要はありません。でも少なくとも1人の看護師とは常時連絡体制を取っている必要があります。
するとどうでしょう。人件費だけでも月に、30万円×5=150万円、35万円×2.5=87.5万円なので総計237.5万円は必要ですね。利用者様1人要介護1と2の平均で10万6千円として、23人は利用者さんが必要となりますね。
藤田 うーん。他の費用と合わせて30人ぐらいは利用者さんがいないとどうにもならない感じですね。
森藤 そうですね。実際の利用者数なんかはどうなっているんでしょう?
藤田 調べてみると、夜間時間帯のホームヘルプサービスの普及状況についての渡辺裕美さんの研究がありました。
それによると、2017(平成29)年1月のデータでは、定期巡回サービスの利用者数は全国で15335人、夜間対応型訪問介護サービスの利用者数は7605人、合わせて22940人だそうです。
また1579ある自治体中、定期巡回サービスもしくは夜間対応型訪問介護サービスを実施しているのは429の自治体しかないそうです。そのうち1ヶ月の利用者数0~9人だった自治体が225だそうで、100人以上利用者さんがおられる自治体は46だそうですから、大都市圏でないと、利用者さんを30人集めるのは難しそうですね。
森藤 夜間対応型訪問介護サービスは地域包括ケアシステムと一緒に2006(平成18)年にできたサービスです。地域包括ケアをさらに進めるために、今回の改正(2012(平成24)年)ではこの「定期巡回サービス」ができたわけですが、とにかく夜間のサービス利用が少ないんですね。だからそれを担う事業所も少ない。
ここで少しわたしの持論を述べたいんですが(笑)、いいでしょうか?
藤田 もちろんです。どうぞ。
森藤 では(笑)。
国は地域包括ケアシステムという制度の創設によって医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスなどが切れ目なく提供され、地域介護が抱える課題を、システマティックに解決しようと考えているんでしょうけど、介護を受ける側にとっては、全体だの制度だのシステマティックだのはまったく関係なくて、今、私のこの状態を解決してほしいだけなんです。
問題は介護を必要とする状態というのは、100人いれば100通りと言えるほど異なっているものであって、一律にシステマティックに処理できる部分だけではないということです。
だから、地域包括ケアシステムを成功させるためには皮肉なことにシステマティックという概念を壊して、制度に縛られることなく、各個人が抱えるいろいろ例外的とも思える問題を、各担当者のある意味独断と偏見も許容しつつ対応するおおらかさが不可欠なのではないか。
ところで、これを介護・看護を提供する介護士・看護師の側からみるとどのように見えるのでしょうか?
定期巡回はまだ良いです。訪問スケジュールを、提供する側が決められるのですから。
問題は随時対応です。随時ですから、いつなんどき電話がかかってきて「今すぐ来てほしい」となるかもしれません。これが実に大変なのです。そもそもそういったケースに対応するには誰かが常に待機していないといけませんよね。何もお呼びがかからなくても一定の人員を張り付けておかなければならない。これは経営的に考えると相当な負担になります。
介護業務はいろいろ大変な業務ですが、その大変さをさらに大きくしているのはこういった予定外の要求がもたらす部分が結構大きいのです。たとえばよく介護の話しをするときに三大介護といって「食事、入浴、排泄」の介助ということを言いますよね。これら三つの介助はそれぞれに大変な部分がありますが、排泄の介助については他の二つの介助にはない大変さがあります。それは、排泄はいつ起こるかわからない、ということです。食事、入浴は介護する側である程度予定を立てて行なうことが可能で、しかも介護する側のスケジュールに利用者を合わせて実施することが可能です。でも排泄は介護する側の都合など知ったことではありません。ある意味待ったなしで突然襲ってきますからね。そして、排泄介助の失敗は事後処理にも大きな負担をもたらします。
このように介護業務というものは、介護を受ける側にとって都合が良ければ良いほど逆に介護を提供する側には大きな負担となる場合が多いのです。当然かもしれませんがね。そのあたりの匙加減をうまくつけないと、持続可能な介護保険制度とはならないのでしょう。
因みに当サンシャインの居宅介護支援事業所ではこの制度が創設されて最近(令和2年末)にいたるまで、利用者の中でこの制度を利用した高齢者は平成29年5月から10月にかけて約半年利用されたお一人様のみというのが実情のようですよ。
藤田 終わりましたか?
森藤 終わりました。
藤田 大変ありがとうございました。
この定期巡回サービスが、どんなに素晴らしいサービスで、でもどんなに困難なサービスなのか、なんとなくわかったような気がします。
この渡辺さんの研究を読んでみると、定期巡回サービスのさきがけである「夜間対応型訪問介護」のことが詳しく書いてあります。わたしもまったく知らなかったのでここにご紹介しますね。
「夜間対応型訪問介護」とは
● 2006(平成18)年4月、地域密着型サービスとして創設された。
● 利用者宅にケアコール端末が置かれ、それを押すとオペレーターにつながる。
● 深夜時間帯(22時~翌6時までをコアとし、最大18時~翌8時まで)だけのサービス である。
● サービスを利用できるのは要介護1以上の介護認定を受けた人。
● 定期巡回。
● オペレーションセンターサービス(利用者からのコールを受け、訪問の要否を判断 するサービス)あり。
● 随時訪問。
● Ⅰ型…オペレーションセンターを設置して運営
利用料金は、端末利用基本料金(981単位)+定期訪問1回につき料金(368単位) およびコールを押しての随時訪問(560単位)を支払う出来高払い。
● Ⅱ型…オペレーションセンターを設置せず運営 コールを押して何度来てもらっても同一料金(2667単位)の月払い。 「夜間対応型訪問介護」事業所数と利用登録者数
● 新設1年後の2007年 全国で41事業所 227人
● 新設5年後の2011年 全国で157事業所 7100人
続いて「訪問介護」「夜間対応型訪問介護」「定期巡回随時対応型訪問介護看護」の事業所数の変化を「定期巡回サービス」の始まった2012年から5年間分をまとめてあります。
そして次のようにまとめておられます。
「2016(平成28)年10月1日現在、訪問介護事業所は35013事業所あるものの、創設11年目となる夜間対応型訪問介護事業所は226事業所にとどまり、創設5年目となる定期巡回随時対応型訪問介護看護事業所は735事業所であった。全国の市町村自治体数1575で割り出すと、1市町村自治体あたり、訪問介護事業所は22ヶ所あるので、市民に身近なサービスであるといえる(35013/1575)。一方、定期巡回随時対応型訪問介護看護事業所は,1市町村自治体あたり0.46ヶ所しかない。制度がつくられて5年たっているにもかかわらず、各市町村自治体に1か所もないサービスとなると、ケアマネも知らないし、市民は利用することもできない(735/1575)」
ということで、この「定期巡回サービス」、利用者にとっては夢のようなサービスであるにもかかわらず、事業者にとっては悪夢のようなサービスということで、ほとんど使われていないようです。
森藤 なるほど、よくわかりました。
そうなんですね。ですがね、このサービスができた当初、こんな話があったんですよ。
特養が夜やればいいという。
例えば特養には夜勤が必ずいるわけだから、そのうちの一人がオペレーターになって、コールがあればそこ、行けばいいんじゃないの?っていう。もちろんそのためには人員配置を増やすなどいろいろ考えないといけませんがね。
藤田 ほうほう。なるほど。それいいじゃないですか!でも認められなかったんですか?
森藤 たしかに制度としてはそういうことも可能な設計にはなっているんですが、現場的には、そりゃもう、そんなのできっこないわよ、って。
藤田 ほうほう。そりゃそうですか。
森藤 でもね、ハードとしてはあるわけですから、特養のどこかに電話を置いて、そこで電話番すればいいじゃないって話だったんですよ。
藤田 そうかそうか。できそうじゃないですか。なんでやらないんだろ?
言ってみればウーバーイーツの介護版ですよね。
誰か近くの人、行ってー、って。
いや、その当時はできなかったかもしれませんが、今なら、時代が変わったんですから、できるんじゃないですか?
森藤 いや、もうひとつの壁はね、施設の介護士は施設の中でしか働いてないから、外に出るのは抵抗あるんですよ。
藤田 はああ。そうかあ。訪問ですもんね。
森藤 そう。だからそういうことに抵抗のないベテランならできるかもしれませんがね。夜中にウロウロ町中をうろついて、訪問に行くっていうのは、簡単そうなんだけど実際はそういうわけにもいかないんですよ。 それに入居者とは違って普段あまり交流もなく、日常の状態もあまり詳しく把握していない対象者の介護を突然言われても、いかに特養の介護士といえども躊躇する気持ち分からないでもないですよ。
藤田 そうかあ。このサービスは理論的にはすごくいいんだけど、実現するのはすっごい難しいっていう。これあれですね、昔流行った核融合みたいですね。理論的には究極なんだけど、どうやって何億度を保持すんのよっていう(笑)。
森藤 そうそう。ときどきあるのは、高専賃を拠点にして、そこの人を対象にやっているっていうのは聞いたことありますね。
そういう形でしかできないんでしょうね。
藤田 小規模多機能型居宅介護(2006(平成18)年4月新設)もある意味理想的ですよね。
森藤 あれもね、これができたときはすべてが解決するって、国もすごい気合い入れて宣伝したりしてすごかったですけどね。だけど運営はやっぱり難しいんですよ。
藤田 この定期巡回サービスは小多機の訪問版ですものね。
森藤 そう。だからね、ここでもう1回言いたいんだけど(笑)。
藤田 え?ええ、ええ。どうぞ。
森藤 わたしはね、介護保険の肝というか、成否のカギは、やっぱり施設にあると思うんですよ。
地域包括ケアシステムは施設・在宅に関わらず地域全体のケアシステムを目指しているんだけど、在宅ケアの中核となるべき定期巡回随時対応型訪問介護・看護事業の成否のカギを握っているのが、さっきも言ったけど、じつは施設サービスとのかかわりかたにあるという意見が、わたしだけじゃなくて一部に確かにあるんですね。
例えばある文献の中に、こういう一節があるんですよ。
「この24時間の巡回型訪問サービス提供システムを先行して実施しているデンマークの経験から、これを普及するために求められるのは、施設部門と在宅ケア部門で分かれていたケア提供組織の再編・統合であり、具体的には、①24時間365日に亘るケア提供の経験がある施設でのサービス提供の在宅サービスへの応用、②在宅・施設サービスに共通したケア提供方法を実行できる人材雇用のあり方、③こうしたケア提供方法を活用した資格教育の整備・OJTシステムの構築、とされている」
藤田 へええ。デンマークでそんなことが言われているんですか?
森藤 いや、わたしも知りませんよ(笑)。こいう文献があるというだけですから。
だからさっきも言ったように、特養には夜勤者がいるので、夜間の随時対応を特養の介護職員が担えばいいのでは、などという見解があるわけでね。
でもまあ、こんな話しを特養の介護職員などが耳にするときっと「とんでもない。そんなことできるわけないじゃない」と一蹴されるにきまっていますけど(笑)。
でもね。平成30年の改正のときちょっとおもしろいというか突飛なというか、そんな加算がつくられたのをご存じですか?それは「外泊時在宅サービス利用の費用」という加算なのだけど、これは入所者が居宅外泊時に施設の従業者(又は指定居宅サービス事業者等)がそのお宅を訪問してそこで介護サービスを提供した場合に加算が算定できますよ、というものなのですね。
特養の介護職員が施設外に出て介護業務を行なうことを認め、ちゃんと報酬も払いますよ、というものです。
これ、ちょっと意識範囲を広げれば、先ほど述べた夜勤の介護職員が夜間の随時対応を、というパターンになるのではありませんか。ま、3年前に作られた加算なので、この3年間にどのくらい算定実績があったかというのは興味のあるところではあります。まるで利用はありませんでした、ではお先真っ暗ですね。
社会福祉法人には地域貢献が求められています。でもね、地域社会に出て、町内会のイベントや介護教室の開催など行うのも結構ですが、特養がその実力を発揮する場はやはり介護現場ではないでしょうかね。特養こそ在宅ケアサービスに対する強力な支援を行う力を持っているはずですので、それを生かす道を行政も本気で考えてもよいのではなかろうか。実はそこにこそ地域包括ケアシステムの成否がかかっているんじゃなかろうか、と思いますよ。
藤田 はああ。なるほど。
やっぱり森藤部長は骨の髄から特養大好きなんですね。
わたしなんかからするとそういう意見は新鮮です。すごい面白い気がしてきました。
森藤 それとね、これはいつか話そうと思っていたんですけど、たまたま思い出したんで、今回の「定期巡回サービス」の話からはずれるんですけど、わたし以前から思っていることがありまして。
藤田 ほう。なんでしょう?
森藤 家族が介護をする、それを算定してお金払ってあげるようにするとすごく違うんだよね。家族はすごく助かりますよ。
藤田 それ、最近聞きましたね。答申かなにかでそういう意見、出ていませんでした?
森藤 うん。話は出てくるんですよ。ときどき。やっぱり怖いんでしょうね。いろんな家族がいますから。しっかり介護をしているなっていう判断というか判定がしっかりできるだろうか、とかね。でも、ケアマネがいるんですから、そこそこできると思うんですけどね。
藤田 ふーん。介護は奥深いというか、社会の制度とか文化とかに深く関係している感じがしますねえ。どういう介護がいいというか、そういうことを考えるのは難しいですね。
森藤 そうですね。今回の改正では「科学的介護」なんて言っていますけど、どういうことになるか、興味深く見守りたいですね。
藤田 そうですね。いつの間にかなんとなく、今回もとりとめなくなくなってきました(笑)。
では今回は、最後の方で森藤部長が言われた「特養こそ在宅ケアサービスに対する強力な支援を行う力を持っている」という結論で(笑)いきたいと思います。
長い時間ありがとうございました。
森藤 ありがとうございました。
Kommentare