介護保険があるじゃないか
4
親の介護がしたい

介護保険ってなに?
介護保険は、高齢者の介護を社会全体で支える仕組みとして、2000(平成12)年4月から実施されています。
市町村を保険者とし、40歳以上の居住者を被保険者として、被保険者が要介護状態になった場合に、介護サービスの提供を行う社会保険です。
この仕組での介護保険制度は世界的に見てもドイツ、日本、韓国ぐらいにしかないようです。(オランダ、スウェーデン、デンマーク、イギリスなどには他の方式の高齢者福祉制度があります)
介護サービスを受けるには?
被保険者が介護保険の介護サービスを受けるために、まずは
①被保険者が要介護状態になったことを認定(要介護認定)してもらいましょう。
そして
②ケアプランを作成しましょう。
要介護認定を受けるには、保険者である市町村にそのことを申し出る(認定申請する)必要があります。申請をするには、市役所へ行ったり市役所のホームページから書式をダウンロードするなどして申請書を手に入れます。それに必要事項を記入した上で介護保険証と医療保険の保険証と一緒に市役所または地域包括支援センターへ提出します。
これらの手続きは、介護のプロである介護支援専門員(ケアマネジャー)に代行してもらうこともできます。
実はそれがおすすめの方法です。
②のケアプランの作成もご自身でできるものではありますが、煩雑ですから、これもケアマネジャーにお任せするのが安心です。
そのためにも、親の介護が必要になった場合、何をするよりもまず、最寄りの地域包括支援センターに相談に行かれることをおすすめします(もちろんサンシャインに相談に来て下さってもうれしいです)。素晴らしいケアマネジャーを紹介してくださいますよ。
地域包括支援センターはお住まいの中学校区ごとに一つ設けられています。ご自分のお住まい担当の地域包括支援センターはどこにあるか、調べておくといいですね。
申請をすると、市町村の担当者が自宅に来て、ご本人と面談して心身の状態を確認(認定調査)します。そのときにはぜひご家族の方が同席なさってください。ご本人が安心されるので、日頃の状態を見てもらいやすくなります。
認定調査された日から30日以内に、要介護状態かどうかの判定が郵送で届けられます。判定結果は、非該当も含めて8つに分けられます。
※ クリックすると拡大表示されます

次いで②にありますケアプランを作成します。
もし要介護状態と判定されて、介護サービスを受けるとすれば、ケアプラン作成に先立って、担当ケアマネジャーを決めておくといいですね。そのためにはケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業所と契約することになります。
ケアプランはご本人、ご家族、ケアマネジャーなどみんなで話し合って作っていきます。「自立支援」の視点を忘れずに、いろいろと意見を交換するといいです。遠慮せず、どしどし意見交換したほうがいいケアプランができますよ。
ケアプランの中には、どんな介護サービスがどんな風に提供されるかが明記されています。
どんな介護サービスがあるの?
介護保険で受けられる介護サービスは、大きく6つに分けられます。
1)居宅介護支援サービス
これは担当ケアマネジャーがご本人を支援するサービスです。一番最初の申請代行、ケアプランの作成に始まり、月に一度の自宅訪問や、各介護サービス事業所とのやりとりなど、ご本人に関する介護・看護関係の面倒をしっかりみてくれます。
2)訪問サービス
自宅でお住まいの方に対するサービスで、自宅へホームヘルパーさんが来てくれて日常生活に関するサービスをしてくださいます。話し相手として喜ばれることも多いようです。
3)通所サービス
自宅にお住まいの方がデイサービス事業所に通ってサービスを受けます。朝のお迎え、夕方近くに自宅までお送りする送迎サービスをはじめ、入浴、食事、機能訓練などのサービスを受けられます。多くの方と交流できますし、ご自分の趣味活動に集中される方も大勢おられます。
みなさんが笑顔でワイワイされている姿を見るとスタッフのひとりとして嬉しくてしようがなくなります。
ご利用者がデイサービスに来られている間、ご家族の方が仕事に休養にと安心した時間を取れるのもおおきなメリットです。
4)ショートステイ・サービス
こちらは短期間、施設にお泊りしてサービスを受けることができるサービスです。夜間介護されるご家族が急な用事で家を空ける必要が生じたときなどに利用できます。
5)施設サービス
自宅ではなく、施設に移り住んでサービスを受けることができます。施設にも多くの種類がありますので、その施設のホームページを見たり、知っている人に評判を聞いたり、いろいろと下調べをしたいところです。ご家族の自宅に近いところにあるというのもポイントのひとつですね。
入居に必要な予算も施設によってまちまちです。こちらの予算や希望を担当のケアマネジャーさんに伝えていろいろと施設を提案してもらうと便利です。
これならという施設が出てきましたら、ぜひ見学にいらしてください。どんなところでどんなスタッフがどんなサービスをどんな雰囲気で提供しているのか、肌身で感じる情報が一番重要ではないでしょうか。
ここでは介護保険で指定されている施設に限らず、いくつか代表的な施設の種類をご紹介します。
①特別養護老人ホーム(特養)
こちらは地方公共団体か社会福祉法人のみが設置運営できる施設で、介護保険の指定を受けている施設です。利用料金が低価格であることと手厚いサービスで人気のある施設です。
基本的には、介護保険の介護認定で要介護3以上の方が利用できます。
入居時に一時金などの費用は必要ありません。月々の利用料のみが必要です。
終の棲家と呼ばれていますが、場合(3ヶ月を超える入院が必要になった等)によっては退去しなければいけないこともあります。各施設にしっかり確認しましょう。
②有料老人ホーム
こちらは民間の福祉的居住施設で、
・介護付有料老人ホーム(介護保険の指定を受けた施設。有料老人ホーム全体の6割がこれです)
・住宅型有料老人ホーム(介護保険の指定を受けていない施設。全体の4割)
・健康型有料老人ホーム(介護保険の指定を受けていない施設。全体の1%以下)
があります。
介護付有料老人ホームは、基本的に施設内のスタッフが実際の介護サービスを提供してくれるもの(一般型)と介護サービスは外部の介護事業者から提供してもらうもの(外部型)があります。一般型は介護度により利用料金が固定されていますが、外部型は利用するサービスの量により利用料金が変わります。
また、別の分け方では、要介護認定を受けている方のみを入居対象とするもの(介護専用型)、自立の方と要介護の方どちらも受け入れるもの(混合型)、入居時に自立していることを要件とするもの(自立型)に分けられます。ご夫婦で一緒に入居を考えておられる場合などは、どの型がいいのか参考にされるといいですね。
入居できるのは、65歳以上の自立~要介護5の方となっており、幅広く利用できます。
入居するのに必要な費用は、利用権を得るために入居時に支払う「入居一時金」と、毎月負担する「月額利用料」です。
住宅型有料老人ホームは、生活支援サービス(食事の提供、洗濯、掃除など)が付いた高齢者向けの居住施設です。介護が必要になったら、外部の介護事業者から介護サービスを受けることになります。自宅と変わらない自由な生活ができます。
健康型有料老人ホームは、住宅型と同様、生活支援サービスは付いていますが、介護が必要になったら契約を解除し、退去することになります。健康型の有料老人ホーム全体に占める割合は1%以下で、極めて低くなっています。
③サービス付き高齢者向け住宅(サ高住、サ付き)
こちらも民間による居住施設です。
前記した特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームが、介護施設のイメージで運営されているのに対し、サービス付き高齢者向け住宅は、基本的に、まだ介護の必要がない、比較的元気な60歳以上の高齢者のための施設です。
この施設に義務付けられているサービスは、
・安否確認サービス
・生活相談サービス
だけです。
サ高住での契約は、原則、通常のアパートなどと同じで、賃貸借契約になります。
サ高住にも介護保険の指定を受けている施設(介護型)があります。こうなると介護型有料老人ホームとあまり変わりがありませんね。
④グループホーム
グループホームは民間が半分、社会福祉法人などが半分を運営しています。
グループホームは、認知症の高齢者が専門スタッフの援助を受けながら、5人から9人のユニットで共同生活する、介護保険の指定を受けている施設です。
グループホームのある市町村の住民票を持っている65歳以上の高齢者で、介護保険の介護認定で要支援2~要介護5までの認定を受けており、医師により認知症の診断を受けており、集団生活を営むのに支障のない方が入居できます。
認知症の方は多くの人を認識するのが難しいという理由から、人数に1ユニットが5~9人という制限があります。また同じ理由から、ひとつのグループホームでは2ユニットまでしか運営できません。これにより、グループホームの目的である「できるだけ家庭に近い環境で、地域社会に溶け込んで生活する」ことが可能になります。
6)福祉用具のレンタルサービス
車いすや介護用ベッドなどをレンタルできます。通常価格の1割(あるいは2~3割)で利用できるのは大きなメリットです。でも排泄や入浴などに使われる用具はレンタルではなく購入になります。こちらも1割(あるいは2~3割)のお値段になります。
また、用具のレンタルではなく、トイレや階段に手すりを取り付けるなどの「住宅改修」というサービスもあります。金額に枠はありますが、必要に応じて利用するといいと思います。